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水産業

世界品質の養殖サーモンを、今別町から。

日本サーモンファーム株式会社

日本サーモンファーム株式会社の動画(2023年2月撮影)

バージ船を用いた給餌による日本初の遠隔生産管理システムの構築へ

人口の増加や生活水準の向上を背景に、世界市場での水産物の需要は伸び続け、生食用サーモンも年々供給が難しくなっている。日本サーモンファーム株式会社は、グループ会社である株式会社オカムラ食品工業がデンマークで行っているサーモンの養殖事業を日本で展開するため、青森県深浦町と弘前大学地域戦略研究所との産学官連携によるサーモン養殖の実証事業を開始。その後、津軽海峡の三厩(みんまや)湾に面する今別町で、竜飛(たっぴ)今別漁業協同組合の協力のもと、大規模な海面養殖生産をスタートさせた。今回のプロジェクトでは、より効率的なサーモン養殖を実現するため、湾内で貨物を運ぶ艀(はしけ)船であるバージ船を用いた給餌による日本初の遠隔生産管理システムの構築を図る。これにより養殖サーモンの生産量をさらに拡大することで、高品質な国産サーモンを世界市場へ供給することを目指すとともに、サーモンの養殖事業を通して青森の漁業の活性化にも取り組んでいく。

助成対象事業の
評価ポイント

日本サーモンファーム株式会社は、青森県でサーモンの養殖事業を手がける会社です。本プロジェクトは、これまで培ってきた飽食給餌ノウハウと、海外の関連会社が展開するバージ船(艀船)を活用した給餌ノウハウを組み合わせ、バージ船を活用した国内初の遠隔生産管理システムを構築するものです。具体的には、バージ船から給餌配管をそれぞれの生簀に配置。バージ船の餌の保管能力と電源、さらに培ってきた給餌ノウハウを活用し、遠隔で効率的な給餌を可能とします。本プロジェクトにより、生産コストを抑えつつ規模拡大を行うことで、国内においては輸入サーモンと同等の位置づけとなることを目指し、海外においても東南アジアを中心に、りんごで知られる「青森」ブランドを活かした輸出を行うことが可能になるほか、従業員の安全性確保にも貢献することが期待されるので、当基金から後押しを行っています。

自然豊かな今別町の海を、サーモン養殖生産の一大拠点に

自然豊かな今別町の海を、サーモン養殖生産の一大拠点に イメージ

世界遺産白神山地から湧き出る清らかな水と、津軽海峡の速い潮の流れを有する青森の海。この自然の恵み豊かな三厩湾に面する今別町で、日本最大規模のサーモン養殖が行われている。

自然豊かな今別町の海を、サーモン養殖生産の一大拠点に イメージ

事業を展開しているのは、日本サーモンファーム株式会社。グループ会社である株式会社オカムラ食品工業がデンマークで行っているサーモン養殖事業を日本に持ち込むため、2017年に設立された。代表取締役社長の鈴木さんは、今別町で養殖が始まった経緯をこう話す。
「デンマークでの養殖事業の経験から、青森県の環境が北欧と近いということで、ここならサーモンの養殖が可能だと考えました。なかでも今別町は、その豊かな自然環境から絶好の場所だと判断したのです。竜飛今別漁業協同組合の皆さんにもご協力いただいて、2018年から養殖試験をスタートし、翌年には550トンの養殖サーモンが水揚げできました」

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こうして順調なスタートを切った今別町でのサーモン養殖事業。そこには、地元の強い期待も重なっていた。
「今別町はかつてコウナゴの漁場でしたが、近年はまったく獲れなくなりました。そんなときに、サーモン養殖のための潮流検査をやりたいという打診があったのです。この話を受けて、漁師みんなで協力することにしたのです」と、竜飛今別漁業協同組合の組合長である野土さんは振り返る。

養殖作業の効率性と安全性を高めるために新しい給餌方式を模索

養殖作業の効率性と安全性を高めるために新しい給餌方式を模索 イメージ

今別町の沿岸で、日本最大規模のサーモン養殖を行うというこの試み。しかし、その実現に向けて生産量を拡大するには、従来のやり方では問題があることが判明した。

養殖作業の効率性と安全性を高めるために新しい給餌方式を模索 イメージ

弘前大学 地域戦略研究所の准教授としてプロジェクトに参画し、現在は北海道大学 地域水産共創センターに在籍する福田教授は、その問題点をこう説明する。
「今回のプロジェクトでは、トラウトサーモンの海面養殖生産量1,000トンを目標に掲げています。これを従来方式で行うと、生け簀が4つ必要となり、給餌のために漁船も4隻用意しなければなりません。これらの確保と管理にはかなりのコストが発生することになります。さらに天候の影響を受けやすいため、悪天候の際は給餌作業が滞ったり、作業員が危険にさらされたりする可能性もあります」
つまり、従来方式で生産規模の拡大を図ろうとすると、費用対効果がほとんど見込めないほか、作業員の安全性の確保も困難になるということだ。

バージ船の導入で給餌の手間を省力化し、養殖の質を高める体制づくりへ

バージ船の導入で給餌の手間を省力化し、養殖の質を高める体制づくりへ イメージ

この難問を打開するために考え出されたのが、遠隔操作で給餌ができるバージ船の導入だ。
バージ船とは海に浮かぶ貨物を運ぶための艀船で、 1〜2週間分の餌を内部に保管し、給餌用のパイプをそれぞれの生け簀につなげば、適切な時間に適切な量の餌を与えることができる。むろん、生け簀に近づくための漁船も、給餌を行う作業員も不要となる。

バージ船の導入で給餌の手間を省力化し、養殖の質を高める体制づくりへ イメージ

「今回はみらい基金の助成金によって、サーモン養殖の本場の北欧からバージ船を購入しました。あらかじめ遠隔操作のカメラや各種センサーが設置されていて、これをカスタマイズすることで海中の魚もリアルタイムで見ることができるようになりました。現場に出向いて給餌する作業がなくなったので、仕事の効率が上がり、安全性も高まりましたね。給餌作業に追われなくなったぶん、魚の状態を集中して観察できるようになり、より質の高い養殖が行えるようになったと思います」と、日本サーモンファームの鈴木さんはその手応えを口にする。

バージ船の導入で給餌の手間を省力化し、養殖の質を高める体制づくりへ イメージ

バージ船の導入により、従来は1日に6時間ほどしかできなかった給餌が、今は朝から晩まで12時間ぐらい継続して行えるようになった。さらに悪天候でも給餌できるということで、魚体が大型化することが期待されている。
「魚のサイズが大きくなれば、脂のノリも身の色も違ってきます。品質的には非常によくなりますし、海外市場でも大きければ大きいほどよく売れるんです」と、鈴木さんは声を弾ませる。

サーモン養殖に魅力を感じる若い世代のUターン雇用が促進

サーモン養殖に魅力を感じる若い世代のUターン雇用が促進 イメージ

バージ船を用いた遠隔管理システムの導入によって、大規模サーモン養殖という新たな産業が現実化しつつある今別町。漁業の町にも変化が起き始めているという。
「サーモン養殖をやりたいという若い人がやって来て、組合は結構活気づいています。地元の漁業関係者はみんな高齢なので、今後は若い人たちに組合員になってもらって、今別町を盛り上げていかなければと考えています」
竜飛今別漁業協同組合の野土さんは、新しい世代に期待をかける。

今別町の豊かな海が育んだサーモンを、世界の食卓へ

今別町の豊かな海が育んだサーモンを、世界の食卓へ イメージ

今別町にサーモン養殖の一大拠点を築き、青森のサーモンを世界へと発信しようという日本サーモンファーム。その取組みの意義を、北海道大学の福田教授はこう考える。
「年間1,000トンのサーモン養殖を、みらい基金によって用意したバージ船で実現化するという方法は、国内における養殖業のモデルケースのひとつになると思います。日本の養殖業はまだまだ伸びしろがあるので、こうした事例が増えることで養殖業、ひいては水産業全体がさらに活性化していくと考えています」

今別町の豊かな海が育んだサーモンを、世界の食卓へ イメージ

日本サーモンファームの鈴木さんは、プロジェクトの今後についてこう話す。
「バージ船1隻の導入で、3,500〜4,000トンぐらい生産量は確実に増えています。これを10年後には1万トンにしようと、みんなでがんばっています。さらに地域の活性化にも貢献できればと考えています。地元の方々をもっと雇用して、地域で一丸となってプロジェクトを進めていきたいと思います」
青森の自然がもたらす豊かな環境のもと、日本の高い技術力によって養殖大国を目指す。この取組みは、地方の水産業に新しい風を吹き込みながら、世界に向けて着実に歩み始めている。

助成先の組織概要

日本サーモンファーム株式会社

地方から世界の食料問題に取り組み、新たな社会的価値の創造に挑戦する会社。原点回帰の発想のもと、世界自然遺産白神山地を背景に豊かな漁場を活かした日本初の生食用サーモンの大規模養殖を実証し、高品質かつ安定生産・供給可能なサーモンを世界に届けることで、社会への貢献を目指している。

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