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農業

「情報」の力で、農家とコントラクター双方にメリットのあるマッチングを。

TOPPANエッジ株式会社

TOPPANエッジ株式会社の動画(2024年11月撮影)

農作業マッチングサービスで、農業の課題解決に迫る

個人農家の高齢化や担い手不足などによる生産力の低下という社会課題。これに対し、TOPPANエッジ株式会社(旧トッパン・フォームズ株式会社)は、個人経営体である農家とコントラクター(農作業受託組織)を双方にメリットがある形でマッチングすることで、農業の生産性向上に貢献する活動を大分、宮崎を皮切りとしてスタートさせている。本プロジェクトでは、同社が培ってきたデジタルソリューションのノウハウを農作業に応用し、委託したい農家と受託できる農業法人のマッチングを増やす取り組みも推進することで、地域の農家・農地を支える仕組みづくりを目指している。

助成対象事業の
評価ポイント

TOPPANエッジ株式会社は、企業のDX支援の一環として事務処理代行等を請け負うなど幅広い事業を行っている東京都の企業です。本プロジェクトは、負荷の大きい農作業について、同社が高負荷な作業の特定、圃場(ほじょう)毎の作業原価の算出、予想利益の見える化、受託作業効率化のための農機具導入等を行い、委託したい農家と受託できる農業法人をマッチングし、担い手不足の解消、生産力向上を図る取り組みです。現在も農作業の委託ニーズは多くあり、今後も拡大が予想される一方で、受託する農業法人等が保有する農機だけでは受託量に限界があること、受託する作業量の把握が十分に行えず、農業法人が本事業に参画を検討するにも初期の機械投資やオペレーターの確保・育成が課題になっていることから、事業拡大ができずにいました。これら課題を解決するため、本プロジェクトでは、同社がこれまでに培ったデジタルソリューションのノウハウを農作業に応用し、農作業工程を可視化・分解・再構築することで、委託側(個人農家)と受託側(農業法人など)の双方の利益向上につながる作業を特定するとともに、地域の農場・作業・生産データを活用・統合して、地域の生産が維持拡大されるインフラの構築が期待されるため、当基金から後押しを行っています。

技術開発と新規事業開発が一緒になって、農作業マッチングプラットフォームを開発

技術開発と新規事業開発が一緒になって、農作業マッチングプラットフォームを開発 イメージ

個人農家の高齢化や担い手不足、生産面積減少、耕作放棄地の増加などによる生産力低下という、全国に広がる社会課題。農家の数が減ることで生産量全体が低下するとともに、1経営体にかかる負担もますます大きくなっていく。
TOPPANグループ全体が組織を再編している中で誕生したTOPPANエッジ株式会社は、情報を最適な形で届けるためのノウハウに優れる企業。それだけにとどまらず、社会課題の解決を起点とした新たな分野のビジネスの創出にも積極的に取り組んできた。

技術開発と新規事業開発が一緒になって、農作業マッチングプラットフォームを開発 イメージ

「技術開発を行っていた部門と新しい事業を起こそうとしている新事業開発部門が一緒になって技術起点で何か新しい事業を起こそうという活動を行っています。新しい分野で何かやるのであれば、それは社会に対して何か課題を解決するものでなければならない。地域再生のところで、何かお手伝いできることはない無いのかという話を社内でしておりました」とTOPPANエッジ株式会社のイノベーションセンター センター長の鳥越秀さんは振り返ります。

技術開発と新規事業開発が一緒になって、農作業マッチングプラットフォームを開発 イメージ

「最初は農機具のシェアリングやレンタルの事業を考えていたのですが、農家さんや農業系の事業を行っている会社さんにいろいろ聞いて回ったところ、単なる貸し借りではこの問題は解決しないということが分かりました。農業の活性化につながる、農家さんが本当にもうかるためにできることを考えよう」
TOPPANエッジが得意とする情報マネジメントのノウハウを活かし、作業工程を理解して、分解し、再構築することであるべきプロセスに近づけていこうとする、BPM(Business Process Management)という手法を使って、課題解決に乗り出します。

BPMの手法を用いて、必要な情報を収集

BPMの手法を用いて、必要な情報を収集 イメージ

ほどなくして、農作業にかかる工程を分解して、それぞれの工程にかかっている負担とコストを把握する取り組みを、大分と宮崎における実証実験でスタートさせる。
「農作業の工程を分解して、どの工程にどのくらいの負荷がかかっているのか、どのくらいのコストがかかっているのか、というところを2年がかりで収集し、データベースとして構築するということをやっています」

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大分では「ねぎ産出額100億円プロジェクト」という生産高を増やす試みが進んでいたが、農地はあるのに余力が無くて生産できないという話を耳にしたという。
「必要な工程のところだけ高効率な機械とサービスを使って、そこだけ代行するというコントラクターという仕組みをご提示しました。生産高を増やすところは、必ずしも新しい就農者を増やすとか、もっと農地を増やそうとかではなく、今ある部分を効率良く回すことでもっとたくさん作れるね、というところを評価いただきました」

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こうした実証実験を経てたどり着いたのが、個人農家とコントラクターを双方にメリットがある形でマッチングする、農作業マッチングプラットフォーム「農託®」。

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TOPPANエッジ株式会社のアグリテックビジネスチームのチームリーダーである溝口達也さんは「作業を委託される個人農家さんは、委託する前に利益がどういう風に変わるかという収支のシミュレーションを無料ですることができます。作業を受託するコントラクターさんは、作業原価を元に受託価格を決められる仕組みになっていますので、損をしない受託価格を決めることができます」

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「みらい基金の用途としては、高性能な農機具の購入にも使っています。白ネギの収穫機、それを調整・出荷するための設備は、弊社で使うということではなく、コントラクター候補の方にレンタルするために購入しています。やりたいなと考えておられる方も設備を持っていないから始められないというご要望もありました。また、コントラクターを増やすというところに課題を持っていたので、コントラクターをしやすくする環境を作ることにも使わせていただいています」と話す。

プラットフォームの開発には、地元の協力も支えに

プラットフォームの開発には、地元の協力も支えに イメージ

TOPPANエッジの活動に期待を寄せる、ベジエイト株式会社代表取締役社長 重冨裕貴さんはこのように語ります。
「『農託®』は受託者側と委託者側の欲しい情報が簡単に見られるのがまず特徴だと思います。開発段階の時にTOPPANエッジさんと我々と他社さんで非常に時間をかけてデータ取りしたので、受託者側の原価計算やどれぐらい採算がとれるのかというものも非常に現実的な数字になっていると思います。『農託®』の普及が進んでいけば人が足りないとか時間が無いとか不必要な心配をする必要が無くなってくるんじゃないかと思います」

プラットフォームの開発には、地元の協力も支えに イメージ

また、JAみやざきの長友啓子さんは、高齢化により、作付面積の減少や作業が大変な作物から他の品目に転換する現状を踏まえて、次のように語ります。

プラットフォームの開発には、地元の協力も支えに イメージ

「『農託®』を使って作業を委託することで生産者は自分の生産面積が維持できたり、元々辞めようかなと思っていたが作付けができたりというところが最大のメリットだと思っています。受託法人さんについては事前にこの時期にこういう作業ができますよという登録をすることで、空いている機械や従業員の方の業務が確保できるところが良いところかなと思います。新規で大根を作付けしたいという生産者に対してもなかなかご自身で機械を購入されるのは難しいと思うので機械を持たれている法人さんに委託して新しく作物として取り組むというところは今後広がりを持っていくのではないかと思っています」

農業DXで地域の生産を支える、飽くなき取り組みは続く

農業DXで地域の生産を支える、飽くなき取り組みは続く イメージ

TOPPANエッジは、大分や宮崎の実証実験に手応えを感じながらも、農業課題解決で取り組むべきことはまだまだ多いとして、このプロジェクトの未来をこのように語ります。

農業DXで地域の生産を支える、飽くなき取り組みは続く イメージ

「農業課題を解決するところにもう少し足を踏み入れられないかなと思っています。技術で解決できることもいくつもありますので、今やっているところから更に広げて、得意分野のところをご提供して農業の活性化や省力化もできるのではないかと思っています。九州地区、更に北上して日本全国でマッチングの仕組みをご提供したいなと考えています」

助成先の組織概要

TOPPANエッジ株式会社

長年にわたり培ってきた「情報」を安全かつ適切に取り扱い、最適な形で届けるためのノウハウを強みとし、従来の紙を中心とした製品・サービスと最先端のデジタル技術を掛け合わせることにより、企業や社会の課題解決に貢献するソリューションを、「インフォメーションソリューション」「ハイブリッドBPO」「コミュニケーションメディア」「セキュアプロダクト」の四つの事業を通じて提供しています。また、社会課題の解決を起点とした新たな分野のビジネスの創出にも積極的に取り組んでいます。

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