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農業

有機でつながる価値を、国内外へ発信。

有限会社人と農・自然をつなぐ会​

有限会社人と農・自然をつなぐ会の動画(2024年10月撮影)​

有機農産物のブランド化を目指す「有機の郷」構想の実現へ​

SDGsへの関心の高まりやみどりの食料システム戦略の策定などによって注目を集めている有機農業。有限会社人と農・自然をつなぐ会は、有機茶の栽培から加工、販売まで一貫して行う組織であり、先代社長は緑茶の有機栽培を世界に広めた先駆者的存在である。本プロジェクトでは、老朽化した自社工場を品質管理の国際認証に適合した新工場に再整備するとともに、ここを地域産有機農産物のブランド化の拠点とし、「有機の郷(さと)」構想を実現するための施策に取り組む。この活動により、有機農業のさらなる発展や新規就農者の拡大を図りつつ、国内外からの訪問客を積極的に取り込むことで地域の活性化を推し進めていく。

助成対象事業の
評価ポイント

有限会社人と農・自然をつなぐ会は、静岡県藤枝市で有機茶農園と有機茶・無農薬茶の製造工場を経営し、加工・販売まで一貫して行っている会社です。本プロジェクトは有機という付加価値のもと、海外での展開も視野に入れた生産・販売能力の増進を図り、有機茶栽培農家や新規就農者の拡大、さらに当地区で栽培される農作物の有機化を促進することを目的とした取組みです。これを実現するために、有機認証に加えて食品安全国際認証にも適合した工場の再整備を実施します。見学可能な観光工場や地元有機農作物の販売所といった施策も取り入れ、地域産の有機農産物を軸とした「有機の郷」構想の拠点づくりを目指します。これにより、地域内のさまざまな地域内の有機農家や団体、自治体との協力体制のもと、地域ブランド力のさらなる向上が期待されるため、当基金から後押しを行っています。​

長年培ってきた有機農業を核に、地域のさらなる活性化に挑む​

長年培ってきた有機農業を核に、地域のさらなる活性化に挑む イメージ

世界的な健康志向の高まりや自然との共生といった意識の広がりにより、"有機(オーガニック)"という言葉は多くの人々の間で浸透し、今では一般的なものとなっている。農薬や化学肥料に頼ることなく、自然環境に配慮しながら安全においしく育てた農作物は、現在、国内外において非常に需要が高い。​

長年培ってきた有機農業を核に、地域のさらなる活性化に挑む イメージ

静岡県藤枝市に拠点を置く有限会社人と農・自然をつなぐ会は、1976年に先代社長が地元農家と連携して立ち上げた有機・無農薬茶の先駆的存在だ。有機栽培の普及と技術向上に尽力し、国内外からの視察や研修生を積極的に受け入れてきた。2021年にはその功績が認められ、先代社長の杵塚敏明さんは世界緑茶協会の「O-CHAパイオニア大賞」を受賞している。​

長年培ってきた有機農業を核に、地域のさらなる活性化に挑む イメージ

先代社長から同社を引き継いだ代表取締役の杵塚一起さんは、人と農・自然をつなぐ会の活動について、このように説明する。​
「現在、力を入れていることは3つあります。1つは耕作放棄地の解消。もう1つが有機茶園の拡大です。今は地元の茶農家さんが有機栽培したお茶を市場価格より高い金額で買い取ることで、茶畑を増やしながら経営できる仕組みをつくっています。あと1つは若手農家の育成ですね。新規就農を目指す方への研修なども積極的に行なっています」​
これらに加えて、有機を軸とした地域活性化に向けた構想にも取り組んでいるという。​
「今は農薬や化学肥料を使わず、自然も壊さない、そんな農業が国内外で注目を集めています。ここ藤枝市の瀬戸谷地区でも、有機茶だけでなくさまざまな有機農産物がつくられています。そうした農産物を中心とした地域ブランド化を目指す『有機の郷(さと)』構想を進めています」​

長年培ってきた有機農業を核に、地域のさらなる活性化に挑む イメージ

このようにいろいろな取組みによって有機の裾野を着実に広げてきた同社だが、じつは大きな課題も抱えていた。​
「10年ほど前に現在の工場を買い取り、お茶の生産から加工、販売まで一貫して行ってきましたが、工場の老朽化が深刻化してきたのです。まずは有機栽培される茶葉の量に対して、加工能力が追いつかない。さらに海外展開を考えると信用問題として国際認証を取得しなければならないのですが、現在の工場では難しいと。そこで、これらを乗り越えるためのあと一歩の後押しを、みらい基金さんにお願いしようとなったのです」​
こうして、「有機の郷」構想を中心とした地域活性化を図るためのプロジェクトが始動した。

見える工場やマルシェで、地域ブランドの拠点づくりを目指す​

見える工場やマルシェで、地域ブランドの拠点づくりを目指す​ イメージ

「有機の郷」構想を実現させるための取組みとは、具体的にはどのようなものか。同社でマーケティングを担当する杵塚民子さんは、このように話す。​
「プロジェクトのメインは工場になります。海外からのお問い合わせが増えている中、旧工場の老朽化が本当にネックなんです。新しく建てる工場では最新の品質管理体制を整えて、国際認証ISO22000などを取得する予定です。また、周辺の茶農家さんが高齢化で栽培を辞めてしまうと、この先この工場に有機茶葉が集中することがあり得ます。生産量を増やせるように機械も大型化する予定です。導入すれば今の1.5倍、1時間あたり500kgだった加工能力が、750kgほどに増やせるようになります」

見える工場やマルシェで、地域ブランドの拠点づくりを目指す​ イメージ

さらに新工場は、有機を軸とした地域ブランド化の拠点としての役割も担うという。​
「見学できる観光工場として運営し、お茶だけでなく地元の有機農産物を集めたマルシェも定期的に開催しようと考えています。地域のこだわりがつまった商品をそろえ、瀬戸谷地区に多くの人を呼び込めるような仕組みをつくる予定です。そうすることで有機茶のことはもちろん、この地域の有機農産物にも興味をもってもらえたらと思います」と「有機の郷」構想の中核となるべき取組みを、杵塚民子さんは説明する。

見える工場やマルシェで、地域ブランドの拠点づくりを目指す​ イメージ

新工場の建設以外にも、有機栽培の普及と拡大を図る施策はこれまで同様に続けていく。​
「研修生の受け入れは、引き続き積極的に行なっていきます。その時期の農作業や加工のノウハウなどを、実地作業のみならず資料なども作成して深く理解できるようにしています。あわせて滞在に使用する住環境の整備にも力を注いでいます」と杵塚民子さん。​
本プロジェクト始動後、藤枝市では「オーガニックビレッジシティ協議会」が立ち上がるなど、有機にまつわる活動が盛り上がりをみせている。​
「自治体をはじめ、JAやオーガニック関連のNPO団体などと連携し、協力し合って進めていきたいです」と、杵塚民子さんは今後に向けた意気込みを語る。​

藤枝市の将来ビジョンとも合致する「有機の郷」構想に期待​

藤枝市の将来ビジョンとも合致する「有機の郷」構想に期待​ イメージ

地域を巻き込んだ「有機の郷」構想は、自治体も大いに期待を寄せている。藤枝市 産業振興部の産業コーディネーターである村松晴義さんは、この取組みについてその効果をこのように話す。​
「藤枝市では現在、『食と農』『健康・医療』を将来ビジョンとして産業の育成を図ることとしており、『有機の郷』構想はまさに市の考えと合致するものです。地域の有機農家と連携して、さまざまな農作物を『有機の郷』ブランドとして発信する取組みは、非常に効果があると考えています」

藤枝市の将来ビジョンとも合致する「有機の郷」構想に期待​ イメージ

「この取組みによって、海外の方が瀬戸谷に来たり、新規就農者が移住してくれると、地域としてますます活性化していくのではないかと期待しています」と、村松さんは地域の未来を思い描きながら話す。​

「有機の郷」に親しんだ子どもが、地域の未来を変えていく​

「有機の郷」に親しんだ子どもが、地域の未来を変えていく​ イメージ

JAおおいがわ 営農経済部の勝岡亮介さんも、地域活性化を目指す「有機の郷」構想に注目している。​
「地域の農業がなくなると、二度と立ち直ることはできません。高齢化と後継者不足が叫ばれる中、新規就農者の獲得を重視することは本当に大切なことだと思います」と勝岡さん。

「有機の郷」に親しんだ子どもが、地域の未来を変えていく​ イメージ

そんな農業を取り巻く厳しい状況がある中で、人と農・自然をつなぐ会のプロジェクトには未来に向けた希望を感じると勝岡さんは語る。​
「お茶の工場の中ってめったに見られないところだと思います。工場を見える化するという試みは、すごくいいですよね。ぜひ多くの子どもたちに見てもらって『自分もお茶をつくりたい!』と感じた子が、10年20年後に新規就農してくれたら一番いい形になるのかなと思います」

新しいことに挑戦し続ける、そんな活気ある地域の創造へ​

新しいことに挑戦し続ける、そんな活気ある地域の創造へ​ イメージ

自治体やさまざまな団体と連携を図り、地域の有機農作物のブランド化を目指す「有機の郷」構想。このプロジェクトの未来を、人と農・自然をつなぐ会 代表取締役の杵塚一起さんはこのように思い描く。​
「瀬戸谷には有機茶だけでなく、さまざまな有機農作物があります。国内外からいろいろな方に来ていただいて、有機農業でつくったこの地域ならではの農作物をもっと広めていきたいです」

新しいことに挑戦し続ける、そんな活気ある地域の創造へ​ イメージ

「お茶農家さんって高齢の方がほとんどなので、辞めていく方もやっぱり毎年いて、本当に寂しく思っていました。何とか解決できないかとずっと考えてきたのですが、地域全体を盛り上げるためには『あれもやろう、これもやろう』と、次々に新しいことに取り組まないといけないんだと思います。そうして地元の子どもたちに、新しいことにどんどん挑戦できるような、そういう未来が残せたらなと思っています」​
有機茶の栽培から始まった、有機農作物で地域を盛り上げようという「有機の郷」構想。その活動は地元の人たちの想いをのせ、未来へと、世界へと、大きく広がっていく。​

助成先の組織概要

有限会社人と農・自然をつなぐ会​

JAS認証を受けた有機茶農園と、有機茶・無農薬茶の製造工場を経営。親子二代にわたり、周辺地域の茶農園への有機化指導や、有機茶葉の適正価格での全量買取などを実施することで、有機茶・無農薬茶の普及と活用に取り組んでいる。​

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